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「のだめカンタービレ 最終楽章 後編」 [watching]

 前編のが面白かった。

 というのが結論。

 「音楽と向き合う」という言葉が作品中に何度も出てくるし、のだめ自身もそう何度も口にするんだけど、結局のだめがどう「音楽と向き合」ってるのかさっぱり分からなかった。
 というか、のだめのいろいろが分からなかった。
 センパイとコンチェルトで共演することが夢だという割には、ピアノを器用に弾くセンパイの才能に嫉妬し、センパイの出世に嫉妬し、自分よりも先にセンパイと共演する他のアーティストに嫉妬し、センパイとのだめの仲がいいのは音楽を離れている時だけのような気がする。
 のだめは、世界的に一流な大学の、世界的に一流の先生に見染められているにもかかわらず、そのレッスンに身が入らないほど周りの人のキャリアが気になっちゃってしょうがない。いったい、他の人の何がそんなに羨ましいんだろう?自分は既に十分以上のものを与えられていて、そこで出すべき結果を求められているのに、それを差し置いてまでコンクールに執着する焦りの理由が私にはちょっと理解できなかった。
 はたから見てて、のだめで言うところの音楽って、とどのつまり「センパイ」でしかないんじゃないのかなって気がしてならない。のだめが音楽でやりたいことはないの?なにを目指してるの?それが映画観ててまったくわからなかった。そういう根本的なモチベーションが「センパイ」だったとしたら、そんなんではたして音楽が続けられるんだろうか。クラッシック音楽にまったくの素養のない人間が言うのもおこがましいのかもしれないが、「先輩とコンチェルトをやること」とか言ってんのって、馴れ合いなんじゃないの?本当に音楽やって生きてきたいって思ってるの?
 「音楽と私」っていう禅問答があって、それに対する自分なりの姿勢があってこそ、センパイとも向き合えるんじゃないだろうか。のだめの「音楽と私」がサッパリわからなかった。つーか、それがないように見えて、だからこの映画はつまらないんだと思う。
 だって、センパイにどんだけ助けてもらうの、その課題。つーくらい課題手伝ってもらってたじゃない。のだめが精神衰弱に陥ると、センパイやシュトレーゼマンという神の手が必ず差しだされて、どうでもいいが、それじゃオクレール先生はいい面の皮じゃないか。普通、破門じゃないのあの身勝手さは。
 それでいてそんなダメダメなのだめしか見てないのに、センパイの愛はつのる一方。おかしくないの?その心の動かされ方は。その子練習してないよ?センパイ、「いつの間にかあいつとの将来のことでいっぱいになってる」って、そこまでぞっこんになっちゃうきっかけとか過程がまるっきり分からないんですけど。なんか私映画一本見逃した?私こそ、『いつの間にそんなに好きになっちゃってんの???』って感じだよ。センパイの情熱にも付いていけず、つまりこの映画には一切感情移入する隙がなかった。

 そんな体たらくだから、結構最初の方で、のだめは「才能はあるのに根性がない奴なんだな」という結論がふと頭に浮かんでしかしぎくりとした。

 『それって身近な誰かのことなんじゃないの……』

 私も仕事のことはいろいろ助けてもらった。教えてもらったことを並べたらそれだけで切り抜けられたことも山ほどある。教えてもらえれば大抵のことは出来たから、それは私の才能もあったんだろうと思うけど、でも、そのさらにもっと才能のある人に恵まれて、助けてもらわなかったらこんなに出来るようにはならなかったと思う。
 いくつか(も)あった自分の転機を振り返ってみて、私の根性が足りなかったのかなとか、もっと辛抱すればよかったのかなと思うこともあるけど、逆にもっとセーブするべきだったとギリギリまで頑張ってしまったことを後悔したことも何度もある。
 だから私は未だに仕事とのバランスのとり方が下手くそということなんだろう。

 私も人のこと言えない……。
 根性がないことに関しては、本人ももはやどうしようとも思わないほど根性がない。

 けど、私には「音楽と私」がある。
 「センパイ」と戦わせる「音楽」がある。と思う。
 ちょっと間違ってたり、大分偏ってたりするかもしれないけれど、それはそれでいいと思う。私の「音楽」なんだから。
 とにかく、それがなくてどうして「センパイ」と向き合えるだろう。
 もっと「センパイ」という人に近づくために、「センパイ」を理解しようと努力すれば、もっと興味深い付き合いが出来て、より深い絆が出来るんじゃないかと思うんだけど。

 という観点から、私はのだめはセンパイとコンチェルトをやるべきではないと思う。それぞれが自立した「音楽」を目指すべきだと思う。その過程でお互いを高め合うなり、支え合うなりすることの方が意味があるんじゃないかと思う。
 コンチェルトは二人だけのものとしてプライベートでやったら愛もなお深まるんではないのかな。

 後編は何ともまとまりが悪くて、センパイの心境の裏付けも良く分かんなければ、のだめの成長みたいのもよくわかんない。観終わって茫然とした。せっかくクラシックをウリにしてるのに後編はセンパイとのだめの関係に集中しちゃってて、音楽のからませ方が弱かった気がする。もっと映画観てよかったと思えるような名曲を沢山からませてくれた方が私にはうれしかった。
 ストーリーも、恋愛にふわふわしてるどうにも精神的にアマチュアの二人より、その周辺で「音楽」に向き合おうとしている人間たちをもっと掘り下げてくれた方が物語に深みが出たと思う。ターニャがどういう思いでコンクールに挑もうとしているのか、屋根裏の幽霊学生とか他の学生がどう「音楽」と向き合ってるのか、それをのだめが身近に学んで成長出来たら他のキャラの意味も深まって物語としてもっと味が出たんじゃないかと思うんだけど。今回はふわふわした二人以外は、みんな人数合わせみたいな感じの存在感だった。

 まあ、これでのだめも終わるのかと鼻であしらってプログラムを閉じようとしたら、最後のページに「Fin?」て、疑問符が打ってあった。
 まあ、どうでもいいけどね……。
 これで次がもっと大人な関係になって、ドラマ性あふれるストーリーになってたりしててくれたらそれで全て丸く収められる。

 でも、そのプログラムの最後のページの写真、これだけはよかったと思う。

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「劇場版TRICK 霊能力者バトルロイヤル」 [watching]

 私が日本の映画を見ない理由のひとつに、

 「なぜ映画にするのか理解しがたいスケール感」

 というのがあるんだけど、この映画はその最たる例の一つだ。

 なぜ?

 なぜこれを映画にしたい?

 前観てもつまらなかったのに、今回も観に連れてきておいて「つまらないね」という連れ。

 なぜ観たい?

 このつまらなさを観たいからに他ならない。

 理解に苦しむけど、つまりそう言うことなんだろう。というか、そうとしか思えない。

 つまらない映画を見せておいて腑に落ちないのが、私が映画を見ながら突っ込みを入れると必ず連れが私の口を覆う。なんでやねん。そうは思わんのか。
 あんなでかいちん○ん、最初から出しといたら全てが丸く収まったんちゃうのか。
 そして帰り際に「山田に好きだって言ったところであんなに大きいんではうまくいかないな」と言ったらつねられた。だってあんなん山田じゃなくたってうまくいかんだろうが。そうは思わんのか。

 どーでもいいけど、こんだけ人が死んでて軽すぎる。
 終いにゃ、甘えん坊将軍を刺しちゃった男の子がかわいそうになっちゃった。あの子はこのあと絶対に人生を踏み誤るよ。
 つか、村長もそんなかわいそうな男の子に「しっかり罪を償って」って、お前ら全員殺人ほう助だよ。何寝ボケたこと言ってんだよ。
 桜井の肩持つ訳じゃないけど、話の筋ってだけで安易に、しかも無意味に人を殺しすぎだ。
 矢部に至っては絡んで来なくても良かったんじゃないの。
 オチも雑すぎて、中学生の書いた脚本か?と思いたくなる。

 映画の中身がないので、映画で使われた要素だけで反省会を盛り上げるしかない。
 双子が疎まれる風習が一時期あったことはなんとなく他の本なんかで知ってた。一人を家の中、例えば蔵とかに隠して育てたんで、そっからそれら不詳な子供の存在をカモフラージュするために座敷わらしのようなフィクションが生まれたという説も。年がら年中蔵に隠してたんじゃかわいそうだからつって、年に何度かお祭りとか、大勢で集まるイベントのある時に、人出の多さにまぎれて外に出したりするもんだから、いつもの子供の数だけおやつを用意しといたら足りなくなったりする都市(田舎)伝説の背景という説とか。
 連れが、双子はいっぺんに手がかかるから、「口減らしのためであったんじゃないの」とめずらしく冴えたコメントを口にしたものだから、「でも、だったらわざわざ蔵に匿って生かしといたりするのは道理にはずれてない?」って突っ込んだら、「だから裕福な家庭なら」というのを聞いて、なるほどと合点がいってしまった。
 つまり、座敷わらしって悪い霊じゃない。縁起物っていうか、吉兆だと思われているよね。現れたうちに福を呼び込むって。だから、例えば、リッチな家庭、庄屋とか、地主とかに双子が生まれたとする。普段小作人なんかには口減らしさせている手前、自分のとこだけおおっぴらに二人育てる訳にも行かないので、一人を座敷奥や蔵に閉じ込めたとしたら?結構つじつまの合う推測だよね。

 それにしても甘えん坊将軍の立ち位置も中途半端だったなー。なんで火が外側に向かって行ったのかも分からんかったし。あからさまなリング系の要素の盗用も、いかにもやっつけ映画にしか見えなかった。

 こんだけつまらないの見た後も、暫く方がが続く予定。


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