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「神様からひとこと」 [reading]

 これは唐突に買ってもらった本。私は時々突然本をプレゼントされる。されるけど、私の好みとか関係なく、その時の話題のものを買ってくれる。何とか賞とか。そう言うの、人にもらうんでもなきゃ読まないんで、買ってくれるのはうれしいんだけど、これは、帯を見てもあんまり気乗りするような感じじゃなかったんでなんかちょっと嫌な感じだった。WOWOWでドラマ化されてるってこともなんか引っかかった。ましてや、帯に「258ページ目で面白~い!と声がでます」とか書いてあって、まさにその258ページ目にしおりが挟んであったいやらしさも鼻に付いた。
 しかして、読んでみてやっぱり困ってしまった。あんまりつまんないんで、途中から別の本を読み出してしまったよ。まあなんとか読み終えましたけど。

 こういうのなんて言うんだろうなぁ。リーマン向けのマンガって言うのがあるじゃない?それの小説版みたいな感じ。一番気になったのは、書き手が無理して若いキャラを作り出しているところだった。なんかすごい読んでて不自然で。だって、主人公が20代半ばなのに、それといくつも違わない彼女が60年代フリークでちっともしっくり来ない。設定年齢をもっとあげてもよかったんじゃないかと思う。もしくはそこからもっとらしく下げるべきだったと。

 書いてある内容も、私にとっては特にこれと言ってめずらしい話なんかじゃなかった。確かに、ドラマにするには時間軸が一定で、小さくまとまってるから、この手の内容にはよろこんで手を出しそうだなと思った。つまり、ドラマになるには分りやすさ以上に求められるものなんてないってこと。ちょっと専門的になりすぎると途端に見る人少なくなるから、そう言うのならNHKにやらしときゃいいって感じなんだろうな。NHKは結構専門的で硬派なドラマにも手をつける。多分、税金で作ってるって言うプライドって言えば聞こえがいいけど、責任っていうか、プレッシャーがそうさせるんだろうな。逆にそうであればいいと思う。だからこそ、生ぬるい作品は作らないで欲しい。お金の無駄だから。そんなことするくらいならいっそのこと出来のいい作品を安く輸入してくれ。

 話がずれたけど、一番の問題はキャラに魅力が感じられないこと。これが主人公の成長していく話だからということで、主人公が箸にも棒にもかからないのは100歩譲って置いておくとして、そのダメ男が憧れて、働くことの意味を見出す相手に魅力が感じられないのは問題だろう。ましてや、その憧れの対象が掘り下げられていないのも問題だった。それがないとただの仕事は出来るけど救いようのない程社会不適合な男にしか見えなくて、感情移入する隙がないじゃないか?つまり大した男でもないのに仕事が出来るってだけで憧れているみたいじゃん。ダメだろう。そんなの。

 一番最悪なのはクライマックスの会議の席上で、言わなくってもいいことを言うためにわざわざ「辞めてやるよ」の啖呵を切るシーン。とてつもなくかっこ悪い。そう言ういうことは辞めないで言うことに価値があるんじゃん。会社の者でもない人が吠えた所で何の意味もない。これがサラリーマンの読む小説でいいんだろうかと首をひねった。辞めるならいつだって誰だって出来るんだよ。
 このドラマの放映中はチューナーが壊れてたので観ずにすんだのが幸いと言えば幸いだった。

 恩田陸を読んだときにも思ったけど、こういうのが職業作家なのかなぁ。恩田陸は書かされている感を微塵も隠さないけど、この作品だって本当に書きたくて書いたんだろうかって感じがするんだよね。
 きっと、ハルキみたいに本当に書きたいことだけ書いて生きていける人ってそんなにいないんだろうなと思う。


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