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四半世紀越しの拝謁 [music]

すごいかっこよかった。
厳密にいうと、やっぱりかっこいいと惚れ直す瞬間が時々あって、
『ああ、本当に私はこの人のことが好きなんだな』
と改めて思った。

言いたい文句は山ほどあるが、今宵は20年越しに見た彼の
惚れ直した姿だけを反芻しておくことにする。

私が想像してたよりがっかりするくらいステージ慣れしてて、
日本語が分からなくても、また英語が分かってそうな相手でなくても
お構いしなしにエンターテイナーぶりを発揮する相当立派なステージマンだった。
それが悪いわけではないし、すごくファンサービスにも気遣う人で
彼の温和な人柄がよく伝わってきたけれど、
私の中ではそういう親しみ感は一切ない人だというイメージが20年間もあって、
石のようになっていたそれが打ち砕かれたわけだから、
その衝撃たるや想像してみてほしい。
一言で言うなら

『こういうひ人だったんだー…』

っていう、なぜかちょっとがっかりする方向。
たとえて言うなら、高校生の時に好きだったクールな先輩が、
だいぶいい大人になってから偶然居酒屋で騒いでいるのを見かけて、
別に悪い人じゃないけど、『あ、ほんとはこういう人だったのね』と
知った瞬間のような。

リック・アストリーは当時からあまり情報のない人で、インタビューなんかも
殆ど読んだ記憶がない。
で、謎めいたパーソナリティを、私は彼の曲ざまから補ったんだな。
多分。

まじめな人だと思ってた。
もとい、まじめな人なんじゃないかと思ってた。
冗談が通じないタイプと言うか、ちょっと神経質な感じかと。
実際には180度違うタイプだった。
平たく言って、ひょうきんな人です。
人の笑いを誘うようなことをするタイプからは程遠いと思っていたのだけれど、
実際はまさにそんな人でした。

なんだかんだマンチェスターと比べるので、マンチャスターの出身なのかと思いきや
全然違うところだったので、どおりでベッカムより断然聞きやすいと思った。
なぜマンチェスターを話題に出したのか。

とにかく、クールでまじめで作品には情熱的なアーティストみたいな優等生像が
ポーンとどこかへすっ飛ばされてしまって、なんだか落ち着かないくらいだった。
これ誰なんだろう、みたいな感じで。

だけど、そうやってお構いなしに英語でガンガンしゃべって会場の笑いを誘う合間に
時々見せる本気の姿に何度も胸を打たれた。
ああ、やっぱかっこいいなと。
リック・アストリーにかぎらないけど、私はアーティストが観客を忘れて、
自分の中に入り込んで歌っている姿が好きだ。
歌の中に入り込んでいると言った方がいいのかな。

歌手が、その歌が好きで、その歌を歌うことに情熱を傾けている姿には
独特の美しさみたいなものがあると思う。
他人には入る余地のない、歌と歌い手との真剣なやり取りを目の当たりにして
私は胸を打たれる。

だから、それを公演の中で何度か見られてよかったなと思った。
人となりは私が想像していた繊細で情熱的な王子様みたいなのからは
かけ離れていたかもしれないけれど、歌に向き合ったときの彼の様子は
私が聞いて育ったリック・アストリーに間違いなかったから。
その時の姿を思い返すだけでも胸がいっぱい。
ああいう曲がもっとたくさん聞きたかった。

まあ、あの人となりじゃ、自分がステージを楽しみたいタイプなんだろうけどね。
ほんとに曲のイメージからは想像しない人柄なんだよ。
表紙で本を判断しちゃいけないっていうけどさ、本の中身を読んでもなお
書き手は想像し得ないということだね。
まいいけど。

しかし、今日のセットリスト作ったやつ殺す。

rick.JPG
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