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「再会の街で」 [watching]

 映画のふれこみを見た限りでは面白そうだなと思ってたんだけど。その時の私の気持ちにも重なったし。けど、冷静になって考えてみれば、主演:アダム・サンドラーなんだよなと思って、これはちょっとはずすのを覚悟していかなきゃと思って観に行った。

 見終わっての感想は、やっぱこんなもんかってとこ。その割には結構涙を流してしまったのはちとだらしがなかったかもしれないが。席を立つときは連れに顔を覗かれないようにしたけど、トイレ行って唖然。鼻の頭赤いよ。そんなにか。
 全体的に上滑りな感じだったと思う。主人公はどっちなのと思わせられるほど、ドン・チードル側の演技が光っていた。側というのは、ドン・チードルとジェダ・ピンケット=スミスの方。あの二人は落ち着いた演技で、見てても安心感があったし、もっとやらせてもよかったと思う。この映画は、人の心の傷を、それをどう乗り越えていくかってことをテーマにしている割に、どうしてアランが家庭に距離を置きたがっているのか、どうしてそこまでチャーリーが苦しんでいるのか、どうして自分の仕事や家庭をなげだしてまでアランがチャーリーにこだわるのか、それぞれの人間をそうたらしめている核が描かれてなかったような気がする。結局そう言う大事な部分をアランやチャーリー自身に台詞で説明させて、彼らがそう語るんだからそうなんだみたいな安い結論に落としてしまっている辺りが、この映画の限界か。
 だから、音楽へのこだわりも腑に落ちなくて消化不良に終わる。チャーリーが音楽に執着する理由を下支えするドラマがあったほうが、観客だってこんなに偏った趣味の音楽を前編に渡って使う意味が分かったと思う。

 この映画で胸を打たれたのは、アランの人柄くらいか。自分のために、何もかも投げ打って、こんなに一生懸命になってくれる友人を持っている人がこの世にどれだけいるだろうと思ったら、チャーリーは果報者だなと思った。また、チャーリーみたいな人にはアランのような人がいなければ立ち直れないと言うのもまた事実だ。ただこの話はあまりにもきれいに描かれている。実際にはこんな風には行かない。チャーリーみたいに、人生に失望してたって仕事もせずに恩給でのらりくらり生きてける人なんて普通いない。アランみたいに仕事に飽きたからって、家庭にうんざりしてるからって、突然夜遊び始めたり、職場で暴れたりしても許される人なんていない。

 ロックは好きだったから、もう少し曲がドラマに重なって感じられるドラマが欲しかったな。単にその趣味の人という風に片付けられてしまった気がする。アダム・サンドラーがドラムが出来ることはもともと知ってたから、その辺は無理矢理くっつけなくてもという感じだった。

 喪失や、乖離をどう乗り越えるかというところではなくて、純粋にアランみたいな親友がうらやましいと思う映画だった。


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