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「Too Tough To Die」 [watching]

 面白かった。1時間あっという間だった。
 CJの吸ってるのが『それタバコ?』とか思ったけど、とにかくいい男満載で、終始ニヤニヤしっぱなしだった。
 フライヤーには知らん名前も色々あったけど、Mighty Mighty Bosstonesとかも出てたりして、よっぽど名前を載せるべきバンドが他にもあるだろと思った。

 想像したことではあったけれど、ジョニーは1秒足りとも出てこない。ので、この映画を観たところで彼自身が死を前にして何を思っていたのか、彼自身の言葉は聞かれない。けど、一番印象的だったのは、リサ・マリー・プレスリーに語ったとする、「オレはこんな風に負けちまうのか」って言葉だった。なんだかそれを聞いて、不思議だけど、よかったと思った。この人、まだ生きるつもりでいたんだなって。それも、死ぬまでロックンローラーだったんだなと思って。どこか、あきらめちゃってるところがあったんじゃないかと思ってた。ラモーンズを辞めて、音楽活動自体から身を退いた感があった。それでも多分心の中に燃えるものが残ってたんだろうな。カートと違って。それは後に残す奥さんのことだったかもしれないけど、でも多分それだけでもない、もっと別の広くて大きいものだろう。でなきゃ、死ぬのを目の前にして、何かに「負ける」なんて言葉吐かない。彼がやろうと思ってて果たせなかったことは、きっと残された私たちが想像する以上に多い。それがなんだったんだろうなと思うとやはり残念な気持ちになる。大事なものを失ったと言う感じが改めてする。

 もう一つ残念だったと言えば、ロブ・ゾンビが歌わなかったこと。ホスト役に徹してた。ステージに立つロブをもう何年も見ていない。ちょっと残念だ。ホストなのは知ってたけど、自分も歌ってるのかと思っていたから。あと、インタビューを見る限り『お前こそやつれてないか?』と思ってちょっと心配だった。ジョニーの分も元気でいい仕事して欲しい。
 フリーや、アンソニーのインタビューはあまりいい内容じゃなくてがっかりだった。なんだか上滑りで、『ほんとに好きなの?』と思ったくらいおざなりな言葉が並べられただけだった。それに比べたらピート・ヨーンなんて、ちょっと喋っただけだって『こいつ相当ファンだな』と思わせるエネルギーを感じた。でも、本当にそれが好きだって言う人はああだと思う。傍で見ててもそれが伝わってくる。けど、フリーとアンソニーにはそれがなかった。
 ネズミみたいなピート・ヨーンがリンダの隣りで縮こまってるのが印象的だった。ジェラったのが、ラモーンズの女って結婚すると自分もラモーンズの名前がもらえる。だからリンダだって登場するとLinda Ramoneってスーパーに出る。ずるい。うらやましい。心底ジェラった。

 ライブは最初に出てきた2バンドくらいを知らないだけで後はとっても楽しめた。バンドでなく、ピンで参加してくる人も多くて、RancidのティムとBad Religionのブレットが並んだ日にはちょっと身悶えたよ。の、間にCJとか、の手前にエディとか。エディに変わってディッキーとか、ヘンリーとか。もーーー、そんなにされたら私も無理ーーーーーってくらいに男三昧だった。なんかもう、CJが出て来た辺りからステージ向かって右側が夢のようなごった煮状態だった。大体みんなRamonesに縁のあるTシャツを着てるんだけど、Bad ReligionのブレットだけはEpitaphのTシャツを着てるのを見て苦笑した。さすがビジネスマン。
 CJがステージに立ってるのを、川崎のファイナルツアー以来始めて観た。男上がってんなと思って胸を打たれた。喋ると教養ないのがまるバレだし、吸ってるのがあからさまにタバコ以外の葉っぱだったけど。初めて観たときも思った以上に男らしいパフォーマンスだったんで惚れ直したけれど、今回はちょっと感動さえした。私の知らないところでもちゃんと仕事してたんだなぁと思って。ステージではNYヤンキースのTシャツを着てた。ジョニーがヤンキースファンだったから。それが微笑ましかった。あれほど年の離れた彼らがどう折り合いをつけて音楽活動なんて、ロックンローラーの定義からは似つかわしくない社会生活を営んでいたのかと思うと不思議だけれど、CJはおバカだって曲がりなりにも海軍上がりで、弔辞の席ではジョニーを「師」と呼んでたし、デボラ・ハリーも「ラモーンズは軍隊みたいだった」と振り返ってたわけだから、きっとジョニーやジョーイとCJのベクトルがあってたんだろう。ジョニー達も彼等なりにCJを大事に育てたんだろうと思う。でなかったら、海軍から逃げてきた青二才にボーカルなんか任せないでしょ。私はマーキーやCJがまだ生きてミュージシャンでいる運命に感謝さえした。

 弔辞の席ではなぜかニコラス・ケイジが熱弁をふるってて、最初のうちは『はて、そんなにロック好きだったっけ?』と首をひねったが、後で『ああ、そうか、リサ・マリーの旦那なんだっけ』と思い出した。これがちょっと前までは妖怪マイケル・ジャクソンの奥さんだったと言うんだから信じられない。あれと結婚できる人間がいるなんて。
 弔辞を読んだのはニコラス・ケイジだけじゃなく、エディ・ヴェダーやロブも読んだ。意外だったのはジョン・フルシャンテ。まさか。この男とRamonesになにか関係があるとは思わなかった。が、むしろこの男がバンド内では一番のRamonesファンっぽいのがまた驚いた。でも、ほんとのとこはそんなもんなのかもしれないなと思った。

 もともとは、レッチリのパフォーマンスを期待して観に行った映画だったけど、開けてみればそれ以外の部分のがはるかに面白かった。久しぶりにレッチリがかすむって言う現象を味わったと思う。あれ、アンソニーの髪型からすると、きっとUDO祭りに来た年なんだろうな。まあ、別に髪型なんかよりもUDO祭りの年を調べればすぐに分ることではあるけれど。
 あと意外だったことに、「RamonesがいなかったらU2もアクセル・ローズもなかったさ」と誰だったかが言ったこと。アクセルのことを覚えている人が私以外にもいるんだーと思って感心した。したんだけど、U2と名前並べて欲しくなかったなぁ。まあでもU2はバンド名だし?と言うところで勘弁してやる。

 しかし、あの銅像はどうかと思う。だって、ジョーイは?ディーディーは?要らないの?また死んでから喧嘩しそうだなぁと思った。確かにジョニーはRamonesの柱だったかもしれないけど、それを体現する人がいたわけで。メンバーで同じ歴史を背負って生きてきて、銅像になれる人となれない人がいるんだと思うと、世知辛いなぁと、苦々しい思いが込み上げてくる。
 あと、これはRamonesが解散したときにも思ったんだけど、CJが自分でバンド持って歌ってるならアルバム欲しいな。CJがどんな仕事してるのか知りたい。

 実は、映画中ずっとトイレを我慢してて、終わった途端にスペシャル映像とか言うのもすっぽかしてトイレにすっとんでって、出来てきたら連れが「Tシャツ売ってるよ」とか教えてくれたんだけど、レイトショーだったんで既に終電が気になるお時間。入れ違いに連れがトイレに行ったので、その間になんとかと思って並びはしたものの、連れが出てきても私の順番は回って来ない。買えるの待ってたら駅まで走ること必死。っていうか、電車に間に合うか自信がない。う~んと悩んだ挙句、「今日買わなくていいの?」と悪魔が囁くのを振り切って「11月2日までやってるから」とあまり筋の通らない言い訳をして涙を飲む思いで映画館を後にした。
 ピンクのロゴの女の子サイズのかわいいTシャツだった。プログラムもあるとは思ってなかったからすごく欲しかったんだけど…。
 だってえーーーー、全然お会計進まないんだもんよーーーーーっ。そりゃプログラムくらいはその日のうちに欲しかったさーーー。
 くそう。買いに行かなきゃ。ひょっとして、なんか他にもいいもの売ってたのかもしれない。CJの今のバンドのアルバムとか。

 まさかね。


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